プロが疑問を感じるコト1 百貨店の着物売り場の店員さんの着物お手入れの知識・・・?
プロの疑問1《着物売り場さんはお手入れの専門家なの?》
前回> プロが教える3 《汗をたくさんかいた着物を安く処理するには》
当ブログへのご来訪、ありがとうございます。
謎の着物クリーニング屋です。(^..^) ←..は鼻のアナ
今回も昨年末のシリーズ《教えていいのか?着物丸洗いクリーニング店の選び方》の完結をスルーし、新シリーズの第三弾をUPするどアホぉ・・・。
(^^;
Q. 百貨店・販売店の店員さんや着付けの先生方って、着物のお手入れに詳しいの?
A. 残念ながらとても的外れなこと、結構言わはります。
例えば・・・
「汗抜き処理ってどんな処理をするんですか?」って聞くとするやん?
ほんだらホンマに着物が好きで知識のある担当の方でも、でもやでぇ
「汗をたくさん吸収しやすい脇や・・・をキレイにしてくれるんです」みたいな回答すると思うんやけど、揚げ足取りやのうて、「マジ作業工程わかって回答してるん?」って感じてまう。
「汗抜きって何するの?」って質問する人って、ほっとんど着物の素人さんやん?
この例で回答してる方が経験してるのって、自分がお手入れでやってもらった経験とか「取引先の悉皆屋(着物お手入れ専門店)さんの担当者に相談して、依頼して、仕上がったモノを見ただけ」で、実際わかったような気になってるだけちゃうん?ってことなの。
で、わかったつもりになった内容を素人同然の方に話してるだけちゃうんのん?ってどうしても思ってまう。
考えてみて。
着物に限らずね、文具でもファッション衣類でも食品でも何でもいいねん。
その商品・サービスの販売を担当する人が、その商品(サービス)が長らく使用できる状況にするためにどんなメンテナンスをどうやって処置してるか、成立してるか熟知してるって、そんなコトある?
一般的なフツーの会社ね。部署に分かれてるやんか。営業とか経理とか総務とか。資格持って経理してるベテランの特に男性の場合、なかなか人に頭下げたり「ありがとう」ってスラッっと言える人、少ないやん? だってね、人に頭下げることって、業務上ほとんど経験せえへんやろから。「わしゃ頭は下げん!」っておっちゃんもおるやろし。女性でも素直に謝られん人、多いなぁそう言えば・・・。
逆に総務系のベテランさんならニコニコややこしい事を解決する技術には長けてるやろけど、そもそも数字が得意な人以外、経理の言葉ってちんぷんかんぷんでしょ?
それぞれ自分が任された分野の知識を吸収するんに精一杯やろし。
それこそ営業が得意な人に「経理の感覚をもて」って社長さん、あくまで個人的な感覚やけど「それやったら貴方が寝る間惜しんでフォローしたったらええやん」ってつい言いたくなる。(出た。辛辣意見)
モノを売る人は、売ろうとする商品がどんな経緯でどんな熟練の方法でどんな革新的な発想で作られたかは「売るための知識として」勉強して(せざるを得んから)知ってるやろけど、そのモノが壊れたりした時の対処法は、その修理部門の担当者に丸投げしてるハズ。
(中小~大手はそれがフツーやと思う。零細なら1人親方・1人社長で何でも知ってる人もおるかも?やけど)
クリーニング屋さんに懇意の人がいたら一回質問したらよ~うわかると思いますで。
今旬の、一番クリーニングを利用してくれる妙齢女性に人気のブランド名を質問しますねん。
100あるブランドのうち、「ちゃんと発音できる」ブランド名、どんだけあるやろか。(ファッションブランドの英語表記とか和製英語で読み方むずかしいっしょ?)
やる気のあるクリーニング屋さんやったらブランド名答えられへんかっても、生地の状態とか素材構成とか見て適切なお手入れ・洗いができるやろけど、その洗浄技術にそもそもブランド名なんか必要ないから、基本ブランド名なんか覚えへんと思いますねん。
でも、くどいけど洗浄技術はきちんと持ってる。(できるお店限定やけど)
女性の皆さんやったら、男性が得意な・・・例えばガンプラとか車の部品とかチューニングの専門用語とかかなー。プラモデルとか車に興味ない人、まったくチンプンカンプンでしょ?
ブランド名はともかく、販売担当者が(クリーニングするその衣類を永らく使用できるようにするための)クリーニングノウハウを知ってるとは、とてもやないけど信じられへん。(一部にはマニア的に熟知してる人もおるとは思うけど。家で手洗い、みたいな)
一般的に「売る係」の担当者は「売るための情報」はたんまり持ってるけど、その後の「お手入れ」の細かい情報なんか知ってるわけないって・・・う~ん、表現むずかしいけど、異端児の筆者はとてもやないけど思えまへん。くどいけど、ホンマそう思う。
くどいけど・・・(^^;。
着物の販売に携わる人や着付け・和裁に関わる人のお手入れに関する情報ってね、テレビで良く見る食通といわれるタレントさんの食レポみたいなもんやないかな~。
タレントさん、いろいろとウンチク語って、取材したそのお店のコト、むっちゃくちゃ(実力以上に)ええように言うてますやん?
でもね、飲食業のプロがその番組見た時、そのタレントさんの評価をそのまんま受け入れる人って、ほぼおらんと思いますねん。
「素人さんやからね・・・」
「テレビやからね(否定的意見は言えんわな)・・・」
「一般のお客さんとしてテレビでええように言うてくれてるだけ」
「調理のコト、なんもわかっとらんやろから・・・」って。
悪口言う意図やのうて、そんなん、どんな業界でも当たり前のコトちゃうかなぁ。業種が違うねんから、専門性が違うねんからって意味で。
百貨店で月20日前後出勤して高級な着物を売ってるからって、着物お手入れ店の技術者がもつ情報力に匹敵するわきゃないやんけっ!
・・・ってコト、こんだけクドクド書いたらご理解いただけたやんね?(^^
・・・今回も、少々しつこいねー。(^^;
あかん。
読み返したら百貨店の着物売り場の担当者さんの悪口になってる。
違うねんで、そんな意味ちゃいますねん。
着物の販売・直し・着付けに携わる皆さんの、良かれと思って「誤解したまま」発信されるそんな情報を、そのまんま信じたら着物被害者予備軍に登録したようなもんやねんで、って事が伝えたいポイントでね。
「百貨店の着物売場担当者さんはいろんな着物お手入れのスベを知ってる」って情報発信を真に受けて書かれたブログ、そのまんま信じたらアカン!って。悪気はないのでその点あしからずね。
あとは、そうねー。
着物好きの方のブログで発信してる誤解のある情報とか。
それそれ。
余計なことやけど、あえて言えば着物が好きで着物をよく着る人やからって、お手入れに精通なんか、ぜんぜんしてないでっ!って、マジ声を大にして訴えたいのでございます。
自分で着物を反物にして、洗い張りして、乾かして、糊付けして、もっかい着物に仕立ててる「超着物好き」な方も同様。洗い張りは得意でも、しみ抜きとか黄変の復元技術は持ってなかったりとかするから。(洗い張りできるって、個人的には超スゲーッ!やけどね。場所も専門の道具もたっぷりと時間も必要やし)
だってね、例えば水で反物をガシガシ洗う「洗い張り専業工房」のプロの皆さんってね、ざっくり言うと「水でニオイ汚れとかをキレイにし、縮んだ布地を元のサイズに戻し、さらにしみ糊付けして新品の反物のようによみがえらせる技術」は持ってるけど、個別の汚れ・黄ばみとかのいわゆる「しみ」を落とすしみ抜きの技術、持ってないんですで。
(!!)ビックリした?
しみ抜きってね、洗い張り屋さんの領域やのうて悉皆屋の領域ですねん。着物専門のお手入れ屋の。 他はクリーンング屋さんとか。
洗い屋は洗い屋の、悉皆屋には悉皆屋の、直し屋には直し屋の専門知識と蓄積があって、専門性がごっつぅ高いってこと。(と言っても、ことお手入れに関する限りは普通の感覚の人ならほとんどの方が身につけられる程度のもんやけど)
その上であえて(言わんでもええねんけど)、あえて言うけど(^^; 、悉皆屋(着物お手入れ専門店)業界のセールストークも、すんなり信じてエエかどうかはホンマによう考えてほしいねんねー。
広い意味で言うんやけどクリーニング業界全体の問題やと思てます。
昔、縁あって取引させてもろてた取引先の、高級スーツのプレスをされてる社長さんの一言に凍りついた発言があってネ。
けっこうお金持ちのお客さんのカジュアルパンツ、カーゴパンツかな。クリーニング依頼された時に「このパンツすんごい大切にしたいから高級なアイロンして。高くてかまわんから」って。
「うれピー!」という事で、さっそく丁寧に水洗いクリーニングしてもろて、ほんでさっそくその社長さんの工場へ持ち込んで依頼した時のお話。
1週間経ってパンツ引き取りに行ったら、明らかに縫い代にビビりじわが出てて。
ゲッ?
(◎△◎)←それを見た瞬間の筆者の顔
※水洗いしたクリーニング会社は別の会社で、きっちり乾燥してもらって全体に型くずれを防ぐための軽いアイロンをかけてもろた後にこの工場へ持ち込んだのですが・・・
で、青ざめる筆者の顔を見た社長いわく
「筆者さん、こういう服はね、ドライクリーニングの溶液につけた瞬間に縮みますんやで」って。
筆者はもちろん (・△・) 「へ?」って顔、一瞬してしもたけど、一応その場はとりつくろってスルーしまして。
※「水洗いしたからアイロンだけ」って注文やったしね、だいたいが。社長もあせったんやろね、筆者のゲ○吐きそうなビックリ顔見て。
トリアセテートとレーヨンと綿混のパンツやったと思うねんけど、「そんなアホな」と、「この人プレスの専門家やけど、クリーニング工場の現場知らんかったんやー」って同時に感じました。
長くなるんではしょるけど、「ドライの溶剤につけた瞬間に縮む」って、「白は実は黒なんだ」みたいなむっちゃくちゃな暴論で、「そんなワケないやんっ!」って無理筋。(一部にそんな素材があるかもやけど、少なくとも筆者はいまだにそんな布地にはお目にかかっておりませぬ)
高級スーツに慣れた社長さんでも、カジュアルパンツの取り扱いはほとんど経験・知識がなく、提携先のクリーニング工場に丸投げして型崩れしたら言い訳するんやって感じまして。その後、当然スーツ系のプレス以外は依頼せんようになったのは言うまでもありませぬ。
※ドライクリーニングはほとんどの場合風乾(洗濯機・乾燥機内で温風を当てて乾かす)するから、それで縮んだんかな~って。
だ~か~ら~、みなさん。
「販売担当の方の勝手に真実やと信ずるほぼ知ったかに近い着物お手入れの情報は、『はいはい』と無難に受け入れて華麗にスルーしましょう。」
もひとつ言うと個人のブログなんかで散見する
「○○店ね、丸洗いが安くって心配やったけどスッキリキレイになった!」
みたいな情報も同様に、ね。
個人的にはお店の関係者による「お店のステマやろな~」と思ってます。知人に頼んだりとかあるかも?ようわからんけど。
筆者の記事内で何回も「ドライクリーニングではキレイにでけまへん!」って宣言してるんやけど、ドライクリーニングって、マジそうやねんで。目に見える汚れのほっとんど、ドライクリーニングで除去するって、ドラマとかマンガみたいな話で。クリーニング関係者ならホンマにマユツバでございます。
※最近は優秀な洗剤メーカーさんが目に見える汚れを処理できるような溶剤とか手法を広めてるんで、一歩譲って洋服のクリーニングって限定するんならドライクリーニングでも目に見える汚れを除去する事はできるお店もありますで。念のため。
でも正絹の着物にはリスクが高くてなかなかそういう優秀な溶剤とか手法をそのまんま適用できんってジレンマもありまして・・・。
だいたい丸洗いって手作業で汚れやすいえり・そで・すそ部分を処理した後にドライクリーニングするって洗浄方法やから、そらえりとかそでに付着して日の浅いファンデーションくらいやったらキレイに落ちることもあるけど、丸洗いだけで残るファンデーションもあるからね、今の時代は。水分たっぷり含んでるやつとか。
安いお店(筆者のお店もそうやけど(^^; )とか、もっと言うたらそこそこの料金のきちんとしたお店に丸洗いに出して丸洗いだけでキレイになったっていうのは一種の勘違いで、ほっとんどの場合は軽くえり山に付着したファンデーションを「しみ」ってことにして、「ほら落ちた!やったーっ!」みたいなことやろうけど、専門家としては「ファンデーションをしみって言うなボケーッ!」って感じてます。(^^;
■しみって言うなぁっ!シリーズ■
・軽い、短時間で、簡単に処理できる、油性の汚れ
・付着してすぐの、汗汚れ
・付着してすぐの、食べこぼし
■しみっちゅうのはこんなんじゃっ!シリーズ■
・黄色く発色している主にカビによる変色
・経年劣化
・付着してそれなりの時間が経過している輪っかを描いている汚れ
・1週間以上経過した血の汚れ
上のシリーズで、丸洗いで落とせるのって最初の軽い油性の汚れだけですねん、マジで。
みなさん、血のしみとか黄ばみとか輪じみをとりたいのに丸洗い注文って、丸洗い料金分をドブに捨ててるようなもんなんですで、ホンマに。
でも業界的には丸洗いを勧める悪い慣習が・・・
(^^; また悪口っぽくなるからやめとくけど。
それでは今回はこれでおしまいっ!
読んでくれてありがとーっ!(^..^)
貴重なお時間にも関わらず最後まで目を通していただき本当にありがとうございます。
筆者 m(__)m
※このブログのページの下部・上部・サイドに表示されているお店の広告は筆者の店とはまったく関係ありません。お店選びは充分に検討し、ご自身の判断でお決め下さい。
<前回記事
教えていいのか?着物丸洗いクリーニング店の選び方-その5
※いつ完結するか?→(^^; カンケツセンカモネ・・・
次回記事>
今回唐突に終わったんで、次回予定はたってまへん。
気の向くまま・・・(^^;